決算直前で慌てずに、数か月前から対策を考えましょう
中小企業の節税対策でまず押さえておかなくてはならないことは、決算(会社の事業年度)が終わってからではほとんど節税対策ができないということです。決算日の数か月前から利益の着地点を想定しておき、対策を講じれば失敗を防ぐことができます。利益を活用する方法を考え、設備投資を行ったり、従業員を増やしたり、資金をプールしておくというような好循環を目指す対策が真の節税対策です。
従業員数がほとんどいないような中小企業の場合は領収書を探したり、経費となるものを見つけることからスタートします。未精算の経費がないか、個人で支払っていたもので業務上の経費だったものはないか、必要な物品は購入しているかを再度おさらいしましょう。また、役員報酬を上げるという方法もありますが、個人の税率や社会保険料を考慮に入れないと総合的な節税にはなりませんので、シミュレーションをしてから実施しましょう。
基本的な対策をしても、まだ利益があるならば保険契約も選択肢!
会社で必要な支出をすべて計上してもなお、節税対策が必要な優良中小企業は保険契約という方法があります。保険契約にも個人で契約するものと異なり、法人対象の保険商品は経費化できるものや、解約時に返戻金があるものがあります。
特に中小企業倒産防止共済を検討してみてはいかがでしょうか。この共済保険は上限はあるものの、支払保険料をその年の経費として計上できる上に、40か月以上の継続で返戻金が100%戻ってくるという保険商品です。返戻金は入金時の収入として計上しますので、多額に経費が必要な年度に合わせて解約をすることで、利益の平準化を行うことができます。
ただ、加入までに時間が必要ですので、決算ギリギリで加入とすると手続きが間に合わない可能性があります。
やってはいけない節税とは?
上記を振り返ると節税対策にはお金が必要ということがわかるでしょう。税金として払うくらいなら、好き勝手使ってしまえと考える中小企業経営者は意外と多いものです。確かに気持ちはわかりますが、会社の長期的持続を考えずに目先の節税にこだわってしまうと会社の体力がなくなってしまいます。
特に、必要のない物品を大量購入したり、交際費を無駄に使ったり、必要ない高級車を購入したりと、意味のない節税対策を行った結果、資金流出が止まらなくなり、儲かっていたはずなのにお金が無くなってしまったという失敗は絶対に避けたいところです。
中小企業の賢い節税対策は会社の繁栄につながる節税のことをいいます。税金が高いと心配してしまいますが、利益以上に税金が発生することはありませんので、決算数か月前から落ち着いて意味のある節税を行いましょう。