固定資産税は、納税義務者を毎年1月1日時点における固定資産税の所有者とすることを基本としてる。しかし自治体が大量に存在する土地や家屋を正確に把握するのは困難であるため地方税法では、登記簿または土地補充課税台帳もしくは家屋補充課税台帳に所有者として登記や登録されている者を固定資産税の納税義務者として課税する方式を採用している。今回の裁判は、家屋を新築して所有権を取得したものの、固定資産税の賦課期日である1月1日時点で登記簿または補充課税台帳に所有者として登記や登録がされていなかった場合、固定資産税の納税義務を負うのか否かが争点となっている。東京高裁では『賦課期日の時点において登記簿または家屋補充課税台帳に所有者として登記または登録されていない限り、家屋の所有者として固定資産税の納税義務者を負うものではない』として納税者の主張を認める判断を下した。これに対して最高裁は、『賦課期日の時点において登記簿または補充課税台帳に登記または登録がされていない場合でも、賦課決定処分が行われる時までに賦課期日現在の所有者として登記または登録されている者は、その賦課期日に係る年度における固定資産税の納税義務を負う』として東京高裁の判決を破棄した。